社会福祉法人 清幸会
理事長
川島 清

私は医療人の3代目として生まれ育ち、40年間地域医療に日夜奔走してまいりました。日本の現在は急速に高齢化が進み、加えて核家族化、価値観の多様化が認められる中で、一人の寝たきりのお年寄りを抱えるということは、それこそ大変な事態で、まさに家族の崩壊に繋がりかねません。
いまから25年前、アルツハイマーになってしまった私の母の姿に、私達夫婦はすっかり困惑し、戸惑ってしまいました。母の慈愛は、何処にいってしまったのか。そして今の情けない姿は、一体何なのか。こんな筈ではなかった。その葛藤の中で母の最後を看取りました。私には、個人的な悲しみでしたが、妻にはこの悲しみをもとに、ひとりでも多くのお年寄りを幸せにしようと決心したのです。
痴呆のお年寄りは、最初自分の痴呆を否定し、そして戸惑い、これが次第に混乱状態となり、怒り、反抗へと発展し、最後はあきらめの境地となって状況を受容し、遂に往生するに至ります。人生と人格は、それこそ千差万別です。お年寄りの望みを理解しようと努め、太陽が西山に没するように、その人の尊厳を保ちながら、彼岸に向かっていただけたらと思っております。